共有山「奥山」について

<志賀の奥山>と呼ばれる220ヘクタールの共有山<奥山>は、あまり高くない、険しくない、優しい山です。400メートル未満の峰や谷を、府道、林道、作業道といった各種の道路が縦横に伸びて、私たちを受け入れてくれます。

志賀郷地区住民が、長年にわたって植樹・育樹にはげんだ結果、このように親しみに満ちた山の姿になりました。

奥山はまた、由良川の支流である犀川の水源の山としての機能を持っています。私たちは奥山にはごみ箱を置かないで、ごみは拾うようにしています。

奥山と交わした5つの約束。

1、山火事は怖い!奥山で山火事を出さないで。

2、奥山の道路は、ガードレールのない谷の道。対向車があると思って低速で走ってください。

3、ごみは捨てないで、拾って。ごみ箱はおきません。

4、山野草は、次の人と来年のために、分けてとるように。

5番目の約束は、まだ、決まっていません。

私たちの好奇心を優しく受け入れてくれる奥山をこれからも大切にしたいです。

 

志賀郷地区住民の共有山である奥山は、いろんな場所へ、続いています。府道490号線(物部・西舞鶴線)が、山の中を通っていますが、奥山の頂上付近で行き止まりです。そこには、昔の歩いて越える峠が残っていて、峠の向こうが、西舞鶴の城屋(じょうや)です。峠の名前は登尾峠、どの地図にものっています。(昔の人は城屋へ越えるから城屋峠と呼んでいた。城屋側からは丹波峠と呼んでいた、と60代の城屋住民から聞きました。)

登尾峠から尾根伝いに西へ、由良川右岸へ下りるまでたどることができます。途切れることなく続くこの山の道はまるで「尾根の公道」と呼びたい。尾根伝いにたくさんの峠が残っていて、全部、丹波と丹後の国境の村々へ下りる峠です。志賀郷から由良川へそして丹後の海まで、歩いて行く事ができます。

志賀郷は、1000年の伝説である<志賀の七不思議>で有名ですが、これらのたくさんの峠によって古くから丹後の海とつながりのあったことも、地域の特徴でした。七不思議のうち今も行われている年占い神事の「茗荷さん」と「筍さん」に丹後方面からも大勢の人々が参拝に訪れたといいます。

 

たとえ府道は行き止まりであっても、春には私たちが植えた桜の花が咲くすばらしい場所であれば、人々が上る、誰よりも私たちが、桜をたずねて奥山に上ることができる。

雪解けの水がエメラルド色にあふれる奥山のダム。

登尾峠が緑の屏風のように全貌を見せる五月、大江山連峰を眺望するぬた場の尾根は、松とヤマザクラとニオイコブシの協奏曲。

5か年計画で建設中の森林作業道から、由良の海が眼の高さに見える秘密のスポットなどなど、奥山の道は、杉とヒノキの林に守られて、どこまでも続いて飽きることがありません。

緑の回廊、志賀の奥山こそ、後世への贈り物、私たちの宝です。(2013年11月)